大垣まつり「布袋軕」ポスター

展覧会ディレクターのU.G.サトーさんからは分かりやすい中でポスターとしての面白さを追求すること、加藤由朗さんからも地元の人共感できるそんなポスターをとオリエンテーションがありました。資料はいただき、ネットで動画も見ましたが、5月11日12日、大垣まつりの夜の奉芸と昼の巡行を実際に観て感じたことをポスターに反映できるようにと考えました。それは、長年、阿波おどりのポスター制作で、ポスターはまつりを支えている踊り子たちに共鳴してもらえる効果的なツールとして実感してきたからです。

実際に大垣まつりに行って、その規模の大きさに驚きました。屋台や人出の多いことったら阿波踊りより多いのでは。軕は、それぞれにストーリーがあるからくり人形、大きなオブジェ型、実際に少女が舞妓さんになって踊ったりと13両それぞれに個性があり面白い。

街を練り歩く巡行には、老若男女、各町毎の揃いの紋の法被、紋付、袴に山高帽それらがまた頗るかっこいい。

担当の布袋軕は、2体の唐人形が踊り舞うカラクリ。そのうち上部の唐人形は片手で逆立ちをする離れ技が目玉!当初はそのイメージをメインにデザインを考えていたが、実際見るとその奥に大きな布袋さんが鎮座し、軍配を振って、唐人形や軕を引く人たちを動かし、采配しているそんな印象であった。おじさんに話しを伺ったが、詳しくは話してくれなかったが、(怪しいやつだと思われた気がする)概ね印象通り。また、13両の中で一番最後に復刻され新しく、指物が凝っていて工芸品の如く美しい。ちょっと知りすぎてポスターにするには情報収拾しすぎて迷ってしまったが、思いのままに1月くらいで1点作った。

締め切りまでは時間があったので、他のアイデアも進めていたが、最初のプランでいいなと感じていた。締め切りまじかになり、寝かしていた最初のアイデアに物足らなさを感じ、焦り出した。著名な方々の中で、推薦していただいたU.G.サトーさんに迷惑かけるわけにもいかないという想いも交じり、プレッシャーも感じだした。

経験上こういう時、全く自信がなくなってしまう。やばいやばいと鉛筆も手につかず、どうしょうもないことが続く。間に合わないから先のプランでいいかと諦めた時、ふ〜っとまつりの風景を思い出しながら、布袋さんを描いてみよかと筆をとり、何にも考えず湧き出るように筆を走らす。そのうちアイデアも生まれ、提出のポスターになった。中町の人が共感してくれると嬉しいんだけれど。

いつもそんな曖昧で不安な時間を過ごしながら出来上がっていく。この歳でこれなんだからこれからも同じだろうと思う。唯一言えるのは、諦めたらよくないものになることを知ったこと。才能がない人間はこうやって苦しみながら作っていくしかないのである。それはそれで楽しいんだけどね。

大垣まつり「布袋軕」ポスター

美濃和紙

最初に作って没にした「布袋軕」のポスター

如 月 舎

グラフィックデザイナー藤本孝明のデザイン事務所です。 Graphic Design, Typography and Illustration Artdirector/Graphic Designer:Takaaki Fujimto

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